COLUMN

2023年米国研修コラム

米国研修コラム|08

津田 定豊

離宮八幡宮
津田 定豊さん

日米の大豆、大豆油生産規模の違いを実感 搾油の歴史を紹介し、文化交流も実現

私が奉職する離宮八幡宮は、平安時代に神官が「長木」という搾油機を考案したことから「製油発祥の地」として多くの油脂関係の方々に参拝いただいております。
今回の研修ツアーを通じて、アメリカ大豆の生産現場、最先端の大豆油製造プロセスを勉強できたこと、また、日本の油生産の歴史を海外の方に伝えられたことは、貴重な機会となりました。

“京都の油の神様”として親しまれる神社の禰宜を務めていることから、日本の歴史の中での搾油に関する資料はよく見ていました。ソイオイルマイスターのガイドブックで植物油について学習する中で、現在の大豆や大豆油、そして油脂全般について詳しく知りたいという思いが強くなり、今回の研修を通じて大豆油に関する最新の知識を得られたことは私自身にとって大変良い勉強になりました。研修の中で訪問した、ベックスハイブリッド社やブンゲ社、パデュー大学の実験農場、コルテバ社といった大豆栽培から油の製造までに関わる企業、また、広大な大地で行われている大豆畑の見学、生産者との交流できたことによって、更に深く現在の植物油生産について理解を深めることができました。
大豆油の製造工程については、ヘキサン抽出や苛性ソーダなどでの処理を除くと江戸時代の絵図などに示されている日本で古来より行われていた搾油精製方法とよく似た工程で行われており、効率的に油を製造することを突き詰めていくと時代や国の枠を超えて同様の方法に到達するのだなと感じました。また、日本においては、大豆などの農産物は、他の地域との差別化をした特産物として生産され流通していることが多いと思いますが、今回視察した広大な農場では、グローバルに取引される国際商品作物として大規模な大豆生産が行われており、日米の生産目的の違いによる差を実感しました。

古式の搾油機「長木」の模型を持参し日本の油生産の歴史を紹介

アメリカ研修に参加させて頂くに当たり、日本での油生産の歴史を海外に伝えたいと思い、「長木」のミニチュア模型を持参し生産者や協会の方と話をしました。約1200年前から続く日本の油搾りについて拙い英会話での説明でしたが興味深く聞いていただけ、インディアナポリスの大豆生産現場に日本の搾油文化の紹介を出来たことで、研修に参加させて頂いたことに対する責務を少なからず果たせたのではないかと思っています。
また、今回は10カ国以上の国からソイオイルマイスターが集まったグローバルプログラムとなっており、インド、中国、シンガポールのソイオイルマイスターの方たちとも交流することが出来ました。時間的には限られた範囲ではあったので、もっと多くの参加者と話せれば良かったのですが、日本とは違った植物油生産の話を伺うことが出来て有意義な時間が得られました。

今回の視察研修を終えて

アメリカでの研修は1日のスケジュールがぎっしり詰まった非常に内容の濃いものであり多くの学びを得ることが出来、大変貴重な経験であったと感じております。今後は神社を訪れた方々に古来の搾油について話すときに、現在の搾油技術にも関連した話が出来ると思います。USSECの皆様、参加者の皆様、大変お世話になりました。ありがとうございました。

  • 古式の搾油機「長木」のミニチュアを使って、日本の油生産の歴史を紹介 大きな関心をよんだ
    古式の搾油機「長木」のミニチュアを使って、日本の油生産の歴史を紹介 大きな関心をよんだ
  • 古式の搾油機「長木」
    古式の搾油機「長木」

運営団体

アメリカ大豆輸出協会(U.S. Soybean Export Council:USSEC) は世界80ヶ国でアメリカ大豆の市場拡大や輸出のプロモーションをおこなうマーケティング機関です。USSECには優良な輸出業者・大豆生産者・政府機関・関連団体等がメンバーとして所属しております。

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