COLUMNコラム
2023年米国研修コラム
米国研修コラム|04
昭和産業株式会社
フィード事業部
堀 眞二さん
サステナビリティの視点から
統制のとれた製造工場
アメリカ大豆の搾油プロセスの進化を実感
この度「SOY OIL MASTER」米国研修に参加させていただき、現地搾油工場、種子製造・販売会社、生産農家などを訪問、またセレブレーション・デイにおいては様々な視点から米国産大豆、大豆油に関するプレゼンテーションを受講させていただきました。以下の通り印象的だった点をまとめます。
BUNGE社
搾油工場見学として、世界でも有数の穀物取り扱い企業であるBunge社のDecatur工場の視察を実施。米国の搾油工場というと、搾油(Crush)に特化しており、精製や充填という工程は併設していないイメージがありましたが、当工場は搾油(抽出)、精製、充填に加え、加工油脂(ショートニング)の製造も同一工場内にて行っていました。
大豆搾油能力は135,000Bu(約3,700トン)/日と日本国内の工場と比べるとかなり大規模ですが、べらぼうな規模感という程ではなく、脱ガム原油での出荷やレシチンの販売など製品ごとに細かくコントロールしている印象でした。今回の研修においても度々話題となった高オレイン酸大豆も取り扱っており、今後の需要増に期待しているようです。
精製工程においては、大豆油以外にも他油種(キャノーラ油・パーム油)を原油で購入し、精製した上で販売、加工製造(ショートニング)へ使用しているとのことです。
製造見学は充填工程がメインとなりましたが、オートケーサーやパレタイザーの活用など非常に進んだ自動化と、広い保管スペースが印象に残りました。
またサステナビリティの視点により、工場排水を削減する努力を行っており、24時間データを収集の上分析しているという点からも、当工場に関しては大規模操業によるスケールメリットを追求するというよりも、多種の製品をしっかりとした統制のもと取り扱っている工場であると感じました。
今回の見学により「アメリカ大豆搾油」のイメージが大きく変わることとなり、非常に意義深い視察となりました。
生産者もステップアップ、複合経営や安定供給力の工場に取り組む
ケビンケリー農場
インディアナ州の生産者であるKelley氏の農場を訪問。同農場は現在4世代目にあたり、3,100エーカーを保持、大豆・コーン・小麦を生産している。45万Bu保管可能なサイロを持ち、大豆・コーンの湿度管理もしっかりと管理を行っておりました。これだけのサイロキャパシティがあれば、ハーベストプレッシャーによる売り急ぎに迫られることがなく、より有利なタイミングでの販売ができるのではと思います。
Kelley氏は自身の農場運営のほか、Kelley Engineeringという会社を設立し、ほかの生産者に農業コンサルタントの業務を行っており、また農場の土地の一部を民間会社に貸与し、風力発電のタービンを設置し、地代収入を得ていました。この地域は風力発電が活発であり、地域全体で100基以上設置されており、1基あたり15,000ドル/年の収入となり、発生電力によってプレミアムがつくそうです。
今回の視察研修を終えて
今回の訪問において、米国の生産者がステップアップされていると感じました。農作物による収入が穀物相場によって直接的に大きく上下する中、サイロキャパシティアップや農作物売却以外の収入確保により、より安定的かつ大きな収入を得るための努力、工夫を続けているということです。
最後になりますが、今回の研修にあたり、現地USSEC、ISAの皆様、およびUSSEC立石様には本当にお世話になりました。素晴らしいホスピタリティと情熱で多岐にわたるプログラム、リクリエーションをご用意いただき、心から感謝しております。従来のビジネスツアーでは訪問できないような企業にうかがえ、とても刺激的な経験となりました。
今回の研修を通じ、米国産大豆(および大豆油)のバリューチェーンに触れ、各関係者の農業や農産物に関する知見や思いを感じることで、あらためて米国産大豆の持続性、競争力を再確認いたしました。引き続き、米国産大豆、大豆油に対する高い意識のもとに業務内外を問わず活動を行ってまいります。
運営団体
アメリカ大豆輸出協会(U.S. Soybean Export Council:USSEC) は世界80ヶ国でアメリカ大豆の市場拡大や輸出のプロモーションをおこなうマーケティング機関です。USSECには優良な輸出業者・大豆生産者・政府機関・関連団体等がメンバーとして所属しております。
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