COLUMN

2023年米国研修コラム

米国研修コラム|03

市田 大樹

キユーピー株式会社
研究開発本部

市田 大樹さん

日本の豊かな食生活を支えているのは サステナブルなアメリカ大豆だった

私は、キユーピー株式会社で調味料の開発業務を担当しています。マヨネーズやドレッシングなど調味料の設計開発を行うにあたって、植物油に関する知識が必要になります。これまでの業務経験上、植物油の一つである大豆油に関して商品に使用するために様々な試験や試作を行ってきましたが、大豆油の原料である「大豆」に関して直接的に学ぶ機会は少なかったため、個人的な興味や好奇心もあり、ソイオイルマイスター検定を受検しました。このたびご縁があって、米国研修に参加させていただく事で、大豆のサプライチェーンを体系的に学ぶことができました。

  • インディアナコーン&大豆イノベーションセンター
    インディアナコーン&
    大豆イノベーションセンター
  • ドローン
    ドローン
  • ジャパンソイオイルマイスターチーム
    ジャパンソイオイルマイスターチーム

大豆は大豆油だけでなく、日本の食文化と関連の深い様々な食品にも多く使われていますが、今回の視察を通じて最も印象的だったことは、「サステナブルなアメリカ大豆によって、日本国内の豊かな食生活が支えられていること」です。以下に、具体的な内容について記載いたします。
ベックスハイブリッド社では、種子の製造方法の流れを学び、大豆油のサプライチェーンの原点は「種」であることを学びました。アメリカの大豆生産農家の多くが家族経営であることや、見学ツアーを設けられていること、生産者第一の考え方であること、先代の経営者も毎日オフィスを訪問されていること等のお話を伺い、創業者の想いや理念が代々引き継がれていることを知ることができました。
今回訪問したケビン・ケリー農場でも家族経営がされており、大切な資産や経験値が長い年月をかけて代々引き継がれている印象を受けました。
共通点として「家族経営」であることや、「見学施設を設けて情報公開」されていること、「ステークホルダーとのオープンでクリアな関係性」を持たれていることが挙げられると思います。ソイオイルマイスター検定では、大豆のサステナビリティについて事前に学んでいましたが、今回の視察を通じて、上記の共通点が大豆のサステナビリティの礎を築いているのではないかと感じました。

  • 資料館にある機械
    ベックスハイブリッド社内にある歴史博物館
  • 資料館
    ベックスハイブリッド社内にある歴史博物館

生産者と研究者が協働して進められるアメリカ大豆の研究開発

そして、今回の視察ではパデュー大学やコルテバ・アグリサイエンス社、カンファレンス等で、最新のテクノロジーやマーケティング動向を学ぶ機会をいただきました。サステナビリティの推進に向けて、バイオテクノロジーの進化は必要不可欠であり、エンジニアと生産者の協働による最新の土壌分析やデータ解析、最新設備を駆使しながら日々農薬研究に取り組まれている研究者の努力によっても、アメリカ大豆のサステナビリティの”今”があるのだと体感することができました。
上記は事業者視点の内容ですが、ひとりの消費者の視点に立って考えると、最近ではミレニアル世代やZ世代を中心に、商品の購入にあたりサステナビリティに配慮した商品を購入の選択理由として挙げる方々が世界的に増えています。とりわけ大豆製品は広範な食品バリューチェーンの基盤部分でもあることから、アメリカ大豆輸出協会では、様々なアクションに取り組まれています。
カンファレンスの中では、アメリカ大豆サステナビリティ認証プロトコル(SSAP)のロゴマークを使用した商品に関しては、現在73社が1000を超えるSKU(在庫最小管理単位:Stock Keeping Unit)でロゴを使用しているというお話を伺い、サステナビリティに関する認証マークの広がりや消費者ニーズの高まりを実感することができました。

今回の視察研修を終えて

現在は、不確実性が高く将来の予測が困難なVUCA(*注)の時代であり、企業価値の判断材料として、サステナビリティの重要性はこれから益々高まってくると考えられます。企業がステークホルダーの期待に応え、社会・環境課題の解決に貢献して持続的に成長するためにも、商品に使用する原資材のサステナビリティを意識した調味料の開発に取り組み、世界中のお客様の食と健康に貢献できるような商品を世の中にお届けしていきたいです。

*注:VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの単語の頭文字をとった言葉で、目まぐるしく変転する予測困難な状況を意味します。

運営団体

アメリカ大豆輸出協会(U.S. Soybean Export Council:USSEC) は世界80ヶ国でアメリカ大豆の市場拡大や輸出のプロモーションをおこなうマーケティング機関です。USSECには優良な輸出業者・大豆生産者・政府機関・関連団体等がメンバーとして所属しております。

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