COLUMN

2023年米国研修コラム

米国研修コラム|08

椹木 庸介

株式会社J-オイルミルズ
ソリューション事業部
研究開発グループ

椹木 庸介さん

サステナブルな食用油、 高オレイン酸大豆油の可能性を実感

今回の研修ツアーを通じて、アメリカ大豆の生産現場やサステナビリティへの取り組みなどを直接視察、体験する、貴重な機会を得ることができ、大変感謝しています。製油会社の研究開発の仕事をしていることから、高オレイン酸大豆について強い関心を持って色々な話を聞くことができました。日本での普及はこれからですが、大きな可能性を実感することができました。

高オレイン酸大豆について、Bunge社にて説明を受けることができました。高オレイン酸大豆は2012から生産されている品種であり、従来の大豆と比較して飽和脂肪酸が20%低減されていること、また高オレイン酸大豆にはオレイン酸が70%近く含まれていることから、機能の面では加熱安定性高いことが大きな特徴となっています。それによりフライ油の寿命が長くなり(泡立ちも抑えられる)、油の使用量およびコストの削減や作業改善につながるとのことでした。米国では、既に高オレイン酸大豆の食品メーカーもあり、その対象商品はスナック菓子やインスタント麺など多岐にわたっている。日本への高オレイン酸大豆油の普及は、まだこれからですが、日本のメーカーでは、旭松食品株式会社がすでに国内で高オレイン酸大豆を使用した製品を販売しているということで、自分の身近なところに来ているのだと感じました。

高オレイン酸大豆について感じられた可能性、期待

現在、米国における高オレイン酸大豆の作付面積は2022年で80万エーカーであるとされており、全体から見れば限定的ですが、将来的(2027年)には270万エーカーになると見込まれています。高オレイン酸大豆は、今後サステナブルな食用油として認識され需要も高くなることが想定されます。一方で従来の大豆油と比べると、まだ高価格であり、大豆油全体に占めるシェアも小さいものの、中国向けの輸出も一部では始まっているようで、今後世界市場にも拡大していけば、生産コストを下げることが可能になると思われます。

今回の視察研修を終えて

日々の業務として、業務用のフライ油開発を担当しています。普段から大豆油を取り扱ってはいますが、今回の研修で大豆生産地の様子を初めて見ることができ、その規模感に驚かされ、大変勉強になりました。研修の中で得られた高オレイン酸大豆(油)の情報は自分自身の業務に深く関わってくる情報だと思います。昨今の油脂の価格上昇により、コスト削減を検討されているユーザーも多い中で高オレイン酸大豆のような使用日数を延長できる油脂というのは、これからのユーザーのニーズにかなっていると感じました。ただ、現状では一部日本国内でも流通が始まっているだけなので、普及・拡大にはまだ時間を要するとは思いますが、引き続き動向を注意深く情報収集していかなければならないと感じました。

  • Bunge社では高オレイン酸大豆のレクチャーを受けた
    Bunge社では高オレイン酸大豆のレクチャーを受けた
  • CORTEVA社のハイオレイン酸大豆油
    CORTEVA社のハイオレイン酸大豆油

運営団体

アメリカ大豆輸出協会(U.S. Soybean Export Council:USSEC) は世界80ヶ国でアメリカ大豆の市場拡大や輸出のプロモーションをおこなうマーケティング機関です。USSECには優良な輸出業者・大豆生産者・政府機関・関連団体等がメンバーとして所属しております。

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