アメリカ大豆の魅力

U.S. Soy Advantages

工業用大豆

Industrial Use

さまざまな用途で活用されるアメリカ大豆の魅力をジャンルごとにご紹介します。

大豆はこんなところにも使われている!?

化石燃料から排出される温室効果ガスへの懸念から、世界中の企業が大豆のような再生原料に注目しています。アメリカ大豆は、世界で生産されている農産物の中でも、最もサステナブルと認識されているため、新たな用途の開発が進んでいます。
大豆製品(油、タンパク質、ミール)は、燃料、溶剤、油脂化学製品、界面活性剤、塗料、印刷インキ、ポリオール、熱硬化性プラスチック、エラストマー、ゴム、可塑剤、接着剤、紙、繊維、潤滑油など、さまざまな工業製品に使われています。
地球温暖化対策が緊急の課題となる中、バイオエタノールとならんで、バイオディーゼルが化石燃料の代替燃料として期待されています。
一方で、大豆などのバイオ燃料の原料は食品資源であるため、大豆を化石燃料の代替として使用することで世界的な穀物や食品価格の高騰にもつながります。食料供給とバランスを取りながら、バイオ燃料をはじめとするこれら工業用途の製品開発と商業化を加速することが必要となっています。

バイオディーゼル

大豆や大豆油はバイオ燃料に

大豆や大豆油はバイオ燃料として活用されています。バイオ燃料とは、バイオマス(生物資源)を原料とする燃料のことで、地球温暖化対策が課題となる中、化石燃料を代替する燃料として利用拡大が期待されています。​
特徴としては、バイオ燃料を燃焼させても、化石燃料と同様に二酸化炭素(CO2)が発生するものの、植物はCO2を吸収して成長し、バイオマスを再生産するため、全体として大気中のCO2が増加することはありません。つまり、カーボンニュートラルとなります。また、化石燃料は使い続けなければなくなっていく燃料である一方、バイオ燃料は再生することが可能でサステナブル(持続可能)な燃料といえます。​

大豆、大豆油は資源作物に区分

バイオ原料は、多岐にわたり主に「資源作物」「未利用バイオマス」「廃棄物バイオマス」の3種に区分ができます。大豆や大豆油は資源作物に区分されます。

溶剤

大豆メチル溶剤は、工業用洗浄剤・手指消毒剤・ペイントストリッパー(はがし液)・クリーナー・脱脂剤などに使用されます。
また、農業用・コーティング用・接着剤用のキャリアソルベント(溶媒)としても使用されています。
揮発性有機化合物(VOC)の含有量が少なく、毒性が低く、引火点が高いため、塩素系溶剤や炭化水素系溶剤の代替として有用であり、生分解性にも優れています。

オレオケミカル(油脂化学)と界面活性剤

大豆油はさまざまなオレオケミカル(油脂化学)に変えることができます。水分や湿気によって、グリセロールと脂肪酸に加水分解したり、大豆ベースのソープストック(ソーダ油さい)を酸性化することで脂肪酸を生成することが可能です。これら脂肪酸は、蒸留によって細かく分離することができます。大豆ワックスは、キャンドル・クレヨン・化粧品・光沢剤・バフ研磨剤・金型潤滑剤などに使用されています。
大豆をメタノールでトランスエステル化すると、脂肪酸メチルエステル(FAME)とグリセロールが抽出されます。FAMEは油脂化学品の中間体として、脂肪酸よりもエネルギー消費量が少なく、設備も安価で、副産物のグリセリンの濃度が高く、蒸留や輸送が容易であるという利点があります。

エラストマー及びゴム化合物

大豆製品は、ゴム化合物・充填剤・増量剤としてゴムコンパウンドに使用されます。大豆油は、石油系プロセスオイルの代替品としてタイヤのトレッドやベルトなどのゴム用途で使用され、加硫した大豆油は、ゴム配合物の増量剤として使用されています。最近では、高オレイン酸の大豆油をベースにした熱可塑性エラストマーが開発され、アスファルト改質剤として機能しています。

塗料・コーティング

大豆油は、歴史的に塗料やコーティング剤のアルキド樹脂の乾燥を遅らせるための油として使用されてきました。今日では、大豆はアルキドラテックス・水性ラテックスエマルジョン・粉体塗料など、さまざまなコーティング樹脂の配合に使用されています。さらに、反応性希釈剤・造粒剤・消泡剤・分散剤・機能性添加剤にも大豆が使用されています。
エポキシ化した大豆油から得られるポリオールは、ポリウレタンやメラミンベースのコーティング剤に使用されているほか、急成長中の水系ウレタン樹脂分野にも使用されています。新しい分野としては、従来のエポキシコーティング用の大豆衝撃改質剤があります。エポキシ化大豆油(ESO)は、大豆樹脂に紫外線科学を導入するアクリル化ポリオールのような新しい構造を提供しています。

可塑剤

エポキシ化大豆油(ESO)は、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂との相溶性が良く、石油系可塑剤の代替品として使用されます。ESOは、PVCの加工時に二次可塑剤や熱安定剤として使用されています。これは工業用大豆としては最大量を占めています。

印刷インキ

大豆油と石油のハイブリッドインクは、高い印刷品質、鮮やかな色、広い色彩の網羅、高い耐摩擦性、クリーン性を兼ね備えています。また、植物由来であるがゆえに、生分解性があり、揮発性有機化合物(VOC)排出量が少ないという特徴があり、コストを下げることもできます。しかし、昨今のデジタル化によりそのボリュームは減少しています。 
ソイインキは1970年のオイルショック後の米国で使用が拡大しました。環境負荷が少ないという特徴に加え、米国を代表する農産物である大豆を利用できることが国策にも合致したことで、利用が広がったと考えられます。
現在もソイインクは使用可能ですが、他の植物油の使用も拡大するベジタブルインキへのシフトの動きが広がっています。

注:上は大豆油インキによる印刷物、下は大豆油を使用したインキの容器に添付するシール。旧アメリカ大豆協会が消費者にSOY INKのメッセージを伝えるために、シールを使用する商標ライセンスを取得、普及を行った。

ポリオールとサーモセットプラスチック

大豆油は、硬質、柔軟性、記憶性などのフォーム用途のポリオールの合成に用いられます。ポリオールの合成において、大豆油分子中の二重結合はヒドロキシルに変換されます。

インフラ

大豆由来の製品は、アスファルト混合物の若返り剤・ポリマー改質剤、アスファルトの離型剤や洗浄剤として使用され、また、コンクリート用途ではシーラーや表面処理としても使われます。 大豆由来の若返り剤は、アスファルトの表面に塗布することで、舗装の寿命を延ばします。大豆ベースのポリマーは、アスファルト性能のグレードを広げ、温度感受性を低下させ、アスファルト舗装の抵抗及び、温度性能範囲を改善します。 大豆酸メチルは、耐久性向上剤の主成分であり、コンクリートの寿命を延ばします。

接着剤

大豆たんぱくは、あらゆる種類の粒子やファイバーボードのバインダーに使用され、ホルムアルデヒドフリーのシステムを提供しています。 同様の技術は、ポリ酢酸ビニルなどのラテックス系接着剤の一部または全部を代替する接着剤や、ウレタン系接着剤の代替として建築用接着剤やシーリング材にも利用されています。大豆成分は、さまざまな基材への接着性を向上させます。

大豆タンパク質のフィルム形成ポリマーは、紙に強度と耐熱性を与えます。 そして、セルロース、顔料、ミネラルの間に強い凝集力と接着力を与えています。大豆由来の添加剤は、流動特性や印刷品質を向上させ、大豆由来の大豆酸メチルや大豆溶剤は、粘着性異物の除去や抄紙機の洗浄・脱脂に役立ちます。

大豆ワックス

大豆油ワックスは、水性製品の包装に非粘着性と隔たりを与えます。

繊維

大豆たんぱく質繊維で作ったテキスタイルは、光沢、ドレープ性、折り目の細かさなど高級感があります。軽くて薄手の生地で快適な着心地を実現します。

グリース・潤滑油および機能性流体

一般的に大豆油は、鉱物油の潤滑油ベースストックと比較して、より高い粘度指数と潤滑性、より低い蒸発損失を有します。熱・酸化・加水分解安定性が低いため、添加剤の使用やオイルの改良が必要となります。トリグリセリド構造の低揮発性は、排気ガス・エンジンスラッジを減少させ、 高い粘度指数により、高いせん断安定性を実現しています。 高い潤滑性と金属表面への吸着性は、エステル結合に由来しています。また、高オレイン酸大豆油は、水素添加油と同様に高い酸化安定性を実現します。

エストリド

高オレイン酸大豆油は、エストリドオリゴマーエステルの製造に使用されます。エストリドは揮発性が低いため、引火点や火災点が高くなり、蒸発損失が少なくなります。 そのため、高温で使用され、可燃性が懸念される場面には理想的な選択肢となります。エストリドの高い粘度指数は、高温下での膜厚が増加をもたらし、その結果として摩擦保護性能が向上し、摩耗が少なくなる可能性があります。 エストリドは、グループI-Vの基油と混和性があり、容易に生分解されます。

絶縁油

変圧器の絶縁体には鉱油が多く使われていますが、可燃性の高さ、洗浄の大変さや環境への影響が懸念されてきました。鉱油の代替として、大豆油を使用することで寿命の延長や二酸化炭素排出量の減少、環境への負荷の低さなど大きなメリットがあります。

Source: 米国Omni Tech社 / 全米大豆基金財団 (USB) 他

さまざまな工業用途や関連市場に大豆を使用して
商品化する事の利点に関する詳細情報を提供するリソースサイト
https://jfischer22.wixsite.com/use-soy-for-that


他、大豆の工業用についての資料は下記のサイトを参照下さい。
https://www.unitedsoybean.org/issue-briefs/industrial-uses-of-soy/
SoyNewUses.org
SoyBiobased.org