アメリカ大豆の魅力

U.S. Soy Advantages

食用大豆

U.S. Soy for Food

輸入9割、うち7割弱がアメリカ大豆

日本の年間大豆需要量は約340万トンで、その9割が輸入、さらに輸入大豆のうち、7割をアメリカから輸入し、長年にわたりアメリカは日本の主要サプライヤーです。その次に多く輸入している国はブラジル、カナダです。国産大豆のシェアは全体需要の6-7%で推移しています。

日本は世界5位の大豆輸入国

現在、世界では約4憶トン近い大豆が生産されています。グラフを見ると明らかですが、中国は世界の総大豆生産量の1/4を輸入しています。世界で2番目に多く大豆を輸入している地域はEUで、アメリカからも多くを輸入しています。次にアルゼンチン、メキシコ、タイと続きます。日本は現在、世界5位の輸入国でアジアでは中国、タイに次いで3番目に多く大豆を輸入しています。

日本の大豆消費

米国農務省のデータによると、人口構造の変化に関わらず食品大豆の需要は安定している一方、搾油用大豆の輸入量はこの20年間で減少しています。  ピークを迎えた2002年には約400万トンの大豆が搾油されていましたが、現在は平均250万トンにまで減少しています。搾油用と食品用の比率を見ても、20年前は4対1だったのに対し、現在は2.5対1となっています。
このような減少にも関わらず、米国の市場シェアは平均70%と堅調に推移しています。大豆搾油の減少分は、当初はインドが供給していましたが、中国が供給する安価な輸入大豆粕も搾油用大豆減少の要因です。USSECは食用油脂業界のイニシアチブをサポートするプログラムを開始しました。

日本の油糧種子と製品に関しまとめたUSDA GAIN レポート (2023年4月12日版)
USDA GAIN Report : FAS Oilseeds and Products Annual ( April 12, 2023 )

日本の食品大豆の用途別使用量

日本では大豆は毎日の食生活に欠かせない食材で、その用途は多岐にわたります。豆腐、納豆、味噌、醤油、豆乳、凍り豆腐、大豆粉などです。伝統食品の代名詞でもある豆腐、納豆、味噌の3つで食品用大豆の8割を占めるという構図は長年、安定しています。
ここ数年の傾向としては、コロナ禍の影響もあり健康志向が高まり、積極的な情報発信や活動により納豆と豆乳の原料使用量が微増しており、2016年と2021年比較で、それぞれ2割から3割増加しています。またそれにともない、米国産のバラエティ大豆も同期間に微増しました。

日本の食品大豆マーケットをまとめたUSDA GAINレポート(2021年3月24日 日本語)
USDA GAIN Report : Utilization of Food Grade Soybean in Japan

アメリカ大豆の生産地域

日本に輸入されるアメリカ大豆の生産地は、主にミシシッピー川周辺に広がる穀倉地帯と呼ばれる広大な農地です。アメリカの大豆の作付面積は、日本の本州がすっぽり入る広さがあります。そのため、広範囲にわたる生産地域で天候被害によるリスクを分散することができます。これらの農地で生産された大豆は、主に船で運ばれます。
日本に運ばれるアメリカ大豆の多くはミシシッピー川を下り、ニューオリンズまで運ばれ、そこから大型船で日本やアジア向けに積み出され、パナマ運河を経由して日本に到着します。豆腐や納豆の原料になる食品大豆は9割以上が西海岸のPNWと呼ばれる地域の港からコンテナ船で日本に運搬されています。

アメリカ大豆の生産地域
アメリカ大豆 特定州の郡別生産量 Soybeans 2019 Production by County for Selected States

アメリカ大豆の優位性

世界1位の大豆生産国はブラジルで、2位がアメリカです。アメリカでは生産のために森林伐採を行わず、生物多様性向上や土地利用効率、CO2削減など地球環境保全にも配慮した生産を行っています。
輸送面をみると、アメリカ大豆は赤道を超える必要がないため、劣化のリスクが少なく安定した品質の大豆の供給が可能です。また広大な面積と最新鋭の穀物輸送インフラが、コスト削減を可能にします。
2022年、アメリカ大豆の世界への輸出額は、前年比約26%増の344億ドルとなりました。特に中国への輸出が年々増えており、総輸出額の増加に大きく貢献しています。アメリカ大豆の輸出総額は、2016年から2020年の5年間の平均値を34.7億ドル(12%)上回りました。

アメリカ大豆の品質 南米産との比較

アメリカ大豆のトップ10マーケット

2018 2019 2020 2021 2022 2021-2022
% Change
2018-2022
Average
中国 3,119 8,005 14,066 14,118 17,868 27% 11,435
メキシコ 1,818 1,878 1,880 2,622 3,637 39% 2,367
EU 27カ国 2,968 1,853 1,911 2,265 2,774 22% 2,354
エジプト 1,164 995 1,486 1,422 2,008 41% 1,415
日本 927 971 1,070 1,355 1,803 33% 1,225
インドネシア 998 968 887 1,082 1,261 17% 1,019
台湾 854 691 602 732 1,115 52% 799
韓国 372 396 255 309 462 50% 350
ベトナム 469 273 425 393 420 7% 396
バングラデシュ 434 388 484 449 351 -22% 421
3,978 2,376 2,452 2,647 2,693 2% 2,829
合計 17,058 18,694 25,516 27,395 34,392 26% 24,611

単位:100万ドル
Source: U.S. Census Bureau Trade Data – BICO HS-10

食用大豆の流通と安全性

Safety and Supply Chain of Soybeans for Food

アメリカの大豆業界は、日本の大豆の7割以上をになう最大サプライヤーとして、お客様が望む安全で高品質な大豆をお届けするために徹底管理を行っています。食品用大豆の供給シェアは近年、アメリカ産と競合関係にあるカナダ大豆の供給逼迫によるプレミアム高騰などの背景から、増加傾向にあります。

食の安心・安全や環境目標に対する人々の意識が大きく変化するなか、産地や農法、流通経路、遺伝子情報などを把握・管理するトレーサビリティの向上を求める声も高まっています。そのような中、アメリカはサプライチェーンの透明性向上の取組の1つとして種子生産から選別、保管、出荷、流通、加工業者へわたる各段階ごとに管理し、そのことを書類などにより証明する 分別生産流通管理(IPハンドリング)を導入しています。

日本では遺伝子組換え表示制度が制定された2001年からの20年間以上にわたり、政府や業界との連携により、サービスの品質改善に取り組んでいます。食品大豆向けには単一品種の純度を保ち、遺伝子組換え大豆と混ざらない大豆を供給するための最善策を考え、日本の消費者に安心してアメリカ大豆を食していただくための努力を重ねています。

遺伝子組換えでない大豆と日本の関係

アメリカは 遺伝子組換えでない大豆(分別生産管理済)の世界最大の供給国です。また、日本はその最大の輸入国です。遺伝子組換えをしていないアメリカ大豆の生産量は年間約700万トン弱です。アメリカの農家はそのうちの約6%を日本の豆腐や油揚げ、納豆、味噌、豆乳、大豆ミート等の食品加工向けに輸出しています。その際には生産、選別、保管の各段階で製品由来をチェックし、証明書を発行するなど、遺伝子組換え大豆や異なる品種と混ざらないように厳格な管理を行い、安心・安全な大豆を日本にお届けすることに全力で取り組んでいます。

遺伝子組換え大豆について

気候変動や世界の人口増加などの地球規模の課題解決のためには、生産効率の高い食料生産が重要であり、そのためには科学の発展が欠かせません。環境問題によって引き起こされる旱魃や洪水などの環境ストレスに強い特性を持つなどの、生産性の高い遺伝子組換え大豆の研究や生産が、ブラジル、アルゼンチン、アメリカ、カナダといった生産国で行われています。SDGを達成する観点からも、食料増産に貢献するような作物、医薬品や試薬を生産する微生物など、様々な遺伝子組換え生物が日本でも開発・利用されています。

日本は多様な用途に大豆を利用していますが、国内自給率が限られるため必要な大豆の9割以上を輸入しています。日本人の生活にとって欠かせない大豆の安定的な供給のために(搾油用や飼料用としての)遺伝子組換えの大豆については、日本政府は食品や飼料としての安全性が認められたもののみを輸入・流通する仕組みを導入しています。厚生労働省は科学的根拠を基に食品としての安全性評価を行っていますし、環境省・農林水産省は環境影響評価を行っています。つまり、安全性が承認されていない遺伝子組換え大豆が、日本に輸入されることも、日本国内で流通することもありません。

持続可能な農業や漁業において、食料を安定確保し世界中の飢餓をなくすというSDGsに貢献するためにも、遺伝子組換え技術は、人類にとって必要不可欠であるのです。

遺伝子組換えに関する任意表示制度変更について

一方で、日本には消費者が正しく理解できる情報提供、また選択のはばを広げることを目指した、遺伝子組換え表示制度(義務表示と任意表示)があります。2023年4月1日から、任意表示制度は法改正が行われ新しい制度になります。 

これまで、大豆・とうもろこしなどを原材料とする加工食品に「遺伝子組換えでない」という表示をする場合には、「混入率(収穫や輸送中などで意図せずに遺伝子組換え原料が混入する割合)が5%以下」が条件でしたが、施行後は「不検出(遺伝子組換え原料の混入がない)」が条件となります。この表示制度の目的は、消費者に情報が正確に伝わるようにすることです。

混入率5%以下の場合は、適切に分別生産流通管理されたことを伝える表示が可能ですが、一方で「遺伝子組換えでない」という任意表示はできなくなります。これにより新しい制度では、使用した原材料に応じて2つの表現に分けることにより、消費者の誤認防止や消費者の選択の機会向上につながるとされています。なお、義務表示については変更はありません。

「食品表示基準について」第24次改正通知文 (令和3年9月15日消食表第389号)

遺伝子組換えに関する任意表示制度: 現行制度と新制度の表示比較

要件 現行制度 新制度(2023年4月~)
意図せざる混入が5%以下 遺伝子組換え農産物でない旨を表示可能

<表示例>
「大豆(遺伝子組換えでない)」
「大豆(遺伝子組換えでないものを分別)」等

※新制度に向け、表示変更は可能

1. 適切に分別生産流通管理された農産物である旨を表示可能
2. 原材料名のみを表示可能

<表示例>
「大豆(分別生産流通管理済み)」等
「大豆(IP管理)」
「大豆」

意図せざる混入がない

※遺伝子組換え農産物の混入がないことを確認するための「公定検査法」。
消費者庁HP参照)

遺伝子組換え農産物でない旨を表示可能

<表示例>
「大豆(遺伝子組換えでない)」
「大豆(非遺伝子組換え)」等

※分別をしていない場合や、5%以上の意図せざる混入がある場合は変わらず義務表示が必要となります。

遺伝子組換えに関する任意表示制度 日本の大豆業界団体の見解・ガイドライン

日本豆腐協会 および一般財団法人全国豆腐連合会

豆腐業界では、一括表示の原材料の欄の表示は、遺伝子組換え大豆が検出される確率が0%である場合を除き、「大豆(原料原産地)」のみ表示し、それ以外の表示はしないこととしました(原則)。
【表示例:大豆(アメリカ産)】
なお、取引先である小売り企業から何らかの表示が求められた場合は、「正しく分別生産流通管理された原料(大豆)を使用しています。」旨の表示(一括表示欄外)にするよう推奨したところであり、国産大豆についても同様となります。
また、国産大豆には遺伝子組換え大豆は全くありませんが、メーカーの中には、国産大豆使用の豆腐と輸入大豆使用の豆腐を同じ生産ラインで製造しているところもあり、仮に混入した場合を考慮し、原則何も書かないとするメーカーも想定されます。

出所:各大豆加工食品団体

全国納豆協同組合連合会

分別生産・流通管理を行い、意図せざる混入を5%以下に抑えている場合は、適切に分別生産・流通管理をされた旨の表示が可能となっています。
【表示例:大豆(IP管理品)、 大豆(分別生産流通管理済み)】

分別生産・流通管理を行い、遺伝子組換えの混入がないと認められる場合は、「遺伝子組換えでない」「非遺伝子組換え」などの表示が可能となっています。 【表示例: 大豆(遺伝子組換えでない)、 大豆(非遺伝子組換え)】

全国味噌工業共同組合連合会

2019年頃に業界としてガイドラインを発行(各都道府県の組合への通知でありWeb等で公開はしていません)。分別生産・流通管理を行い、意図せざる混入を5%以下に抑えている場合は、適切に分別生産・流通管理をされた旨の表示が可能となっています。
【表示例:大豆(IP管理品)、 大豆(分別生産流通管理済み)】
※なお、一括表示の枠外に任意で表示することも可能ですが、その場合は、原材料の「大豆」についての表示でわかるように記載することが条件です。

分別生産・流通管理を行い、遺伝子組換えの混入がないと認められる場合は、「遺伝子組換えでない」「非遺伝子組換え」などの表示が可能となっています。 【表示例: 大豆(遺伝子組換えでない)、 大豆(非遺伝子組換え)】

出所:各大豆加工食品団体

日本豆乳協会

業界としてのガイドラインは発行していません。メーカーにとって大豆は豆乳だけでなく、その用途が多岐に渡ることから、豆乳カテゴリーだけのガイドラインの作成は非現実的との判断です。メーカーから問い合わせがあった場合は、下記のような返答をしています。
「消費者庁が発行したガイドラインに準拠したうえで、各表記を行う際には、消費者に対して誤認を与えず科学的根拠が伴う形で行うこと」

出所:各大豆加工食品団体

【用語説明】

※遺伝子組換え
生物の細胞から取り出した有用な性質を持つ遺伝子をその性質を持たせたい生物の細胞の遺伝子に組み入れ、消費者や生産者の求める新しい性質を効率よくもたせる技術のこと
※分別生産流通管理(IPハンドリング)
遺伝子組換えと非遺伝子組換え農作物を生産・流通および加工の各段階で混入が起こらないよう管理し、そのことが書類などにより証明されていること

大豆の成分構成・栄養

Soybean Composition and Nutrition

大豆はたんぱく質、脂質の他にもカルシウム、ビタミンE、ビタミンB2、葉酸、カリウムなどのミネラル、食物繊維を豊富に含む一方、糖質が少ないという特徴があります。

大豆たんぱく質は、体がたんぱく質を作るのに必要な量の必須アミノ酸をすべて含んでおり、高品質のたんぱく質、脂質を含む栄養価の高い食品として人の健康と栄養に大きな役割を果たしています。

大豆のヘルスクレームについて

米国では、大豆のたんぱく質と大豆の油には、FDAのハートヘルスクレーム(心臓の健康に関する強調表示)をつけることができます。食品企業の大豆の成分と疾患リスク軽減についてのコミュニケーションを可能にしています。

大豆のタンパク質 1999年~
「飽和脂肪とコレステロールの少ない食事の一部として1日25gの大豆たんぱく質を摂取すると心臓病のリスクを軽減できる」というものです。

大豆油(ソイオイル)2017年~
「不飽和脂肪を含む大豆油を1日に大さじ1/2杯(20.5g)程度食べることで、冠動脈性心疾患のリスクを低減する可能性があることを、支持するものの決定的な科学的証拠はない。」としています。

大豆の栄養に関する動画:アメリカの大豆の研究に関する最新情報

  • 「大豆イソフラボンのシワ改善効果」
    SNI (大豆の栄養研究会)マーク・メッシーナ博士 

  • 「大豆たんぱく質と筋肉増強」
    ポイント・ロマ・ナザレン大学 ハイディ・リンチ博士

アメリカの大豆の栄養・機能性に関する動向

SNIグローバルについて

アメリカには、SNIグローバルという大豆の栄養や機能性に特化した活動を行っている団体があります。 Soy Nutrition Institute(大豆栄養研究所) は2004年にUSB(全米大豆基金財団)によって設立され、 2021年から SNI グローバルと新たな名称になり連携を強化しています。SNIグローバルの会員企業にはハウスフーズアメリカ社(ハウス食品)、ファーマバイト社(大塚製薬)等の日系企業をはじめ、インポッシブルフーズ、ケロッグ、ダノン社などが加盟しています。

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