COLUMNコラム
2025年調達セミナーコラム
調達セミナーコラム|01

埼玉糧穀株式会社
代表取締役社長
相原 宏一朗さん
お取引先様にも高オレイン酸大豆を
提案したい
CORTEVA社の取り組み
CORTEVA社の本社を訪問。CORTEVA社は、数年前に種子会社の最大手パイオニア(アイオワ州)社を買収した会社。パイオニア社を買収したことで多くの種子を取り扱っている。穀物に関わること全てを担っており、サステナビリティな取組みに従事している。高オレイン酸大豆(GMO)にも力を入れている。企業としての目的は生産者の生活を豊かにすること。CORTEVA社は2019年に設立しDUPON種子開発部門とパイオニア社が合併したことで誕生。200年近い歴史をもち従業員は世界全体で約22000人。115ヶ国で事業を行い120以上の研究施設がある。会社全体で約180億ドルの売上がある。世界の温暖化に伴い農業にはサステナブルな取組みが必須と考えられるようになった。農業従事者は毎年20~40%の害虫被害が出ている。雑草管理も毎年大変である。干ばつ、病気などもあり世界中で2,270億ドルの作物が失われている。サステナブルな取組みの一つとしてR&D Discovery Processというものがある。CORTEVA社はコーン、大豆、菜種、ひまわりの種子を取り扱っている。また牧草、米、ソルガムなど種子ビジネスも大きく展開。そしてグリーンハウスガスを出さない取り組み、微生物のコントロール、土地の管理、サステナブルな環境設計を効率的に行うことが可能だ。バイオロジカルなビジネス(2~3年前にスタートしたもの)。これは穀物の保護を自然の力を活用して保護することを目的としている。
高オレイン酸大豆について
高オレイン酸の穀物は、ひまわり、紅花などあるが大豆が多い。高オレイン酸大豆は2012年に誕生。高オレイン酸の需要は2020年から2024年にかけて右肩上がり。2025年に少し需要が止まった。近年ではバイオテックな穀物の取り組みの一つとして害虫を自然に駆除する取り組みをスタートさせた。高オレイン酸大豆で油を搾ったあとに使用される大豆粕は酪農事業に使用されておりミルクの質が上がったと報告されている。
2020年にコロナがあり、サプライチェーンが大きく変わった。アメリカ国内で石油ではなく自然由来の油の需要が増えた。ロシア対ウクライナの戦争も重なり2025年から需要が増えている。少し古いデータだが青い地域が高オレイン酸の搾油工場がある。2025年の作付けはCORTEVA社だけで70万~80万エーカー。2026年産では100万エーカーになる見込み。マーケットシェアは食用オイル50%、飼料50%の構造となっている。しかしながらアメリカでの大豆生産が8500万エーカーのうち高オレイン酸大豆は100万エーカーしかないため、需要は増えていても市場希望はまだ小さい。
CORTEVA社のツアー
新しい農薬、殺菌剤を作る工程を視察。ほとんどが自動化されており各部署では可能な限り少人数で業務を行っている。農薬のトレース、作り方について講義を受け、また雑草コントロールについても話があった。新しい除草剤を作るのに10年はかかると言われている。新しい農薬が商業化されるのにすごい時間とお金がかかり費用は約3億ドルを見積もっている。農薬や大豆に関わらずコーンや他の種子も全て対象。粒子の開発からリサーチだけでなく圃場に生息している害虫、その他天然由来のものにも調査を惜しまない。農作物(大豆、コーン等)を作るさいに微生物も一緒に作り、その微生物を発酵してから圃場に植えられる。微生物が砂糖を餌として食べて発酵する仕組みだという。微生物は約30,000~40,000種/1年扱う。次にその中から10%が次のステージへいく。1つの微生物にどれくらいの耐用性があるかを確認。農薬開発は地上に生息する哺乳類、魚類にも安全であるかも確認する必要があり。CORTEVAの研究室の中で蜂の生態を実験している部署があったのが興味深かった。
ホテルでの会議
同日の午後はCORTEVA社から移動しホテルにて高オレイン酸大豆の油の使用用途等についての講義があった。現在アメリカで生産されている高オレイン酸のほとんどはインディアナ州で生産されており約70%を占めている。インディアナ州はADM、BungeそしてCargillと多くのメジャー穀物会社が存在し搾油工場を所有している。CORTEVA社の説明の通り高オレイン酸は一般のGMO大豆市場と比較すると、まだまだ小さいマーケットではあるがインディアナ州だけで捉えると食用の油から家畜の飼料などアメリカ国内の需要は年々増加する見込みである。2025年産は食用60%、飼料用35%、工業用5%という市場と言われているが、2025-2030年でみると食用40%、飼料用40%、工業用20%となり作付面積も増加する見通しである。またSOYLEIC(ミズーリ大学)にてNon-GMOの高オレイン酸大豆も扱われておりインディアナ州の各農家でも一部取扱がある。
今回の高オレイン酸大豆調達セミナーを終えて
高オレイン酸大豆については数年前より話は聞いていたが、日本での認知度はあまりなく商社、製油メーカーに関わらず前向きな取引は行われていないかと思います。しかしながら、今回の視察を通して高オレイン酸大豆の播種面積、今後の生産見通し、高オレイン酸大豆の特徴など貴重な情報を得ることができたことで弊社のお取引先様にも高オレイン酸大豆を提案したいと思いました。特に高オレイン酸大豆は一般的に製油メーカー向けという認識だったが、Non-GMOの高オレイン酸大豆があることは大変驚きました。またサプライヤーとの1on1 meetingをとおして高オレイン酸大豆の話は勿論だが、合わせて各サプライヤーで取り扱うNon-GMO大豆の話も聞くことができたことは良かったです。
運営団体

アメリカ大豆輸出協会(U.S. Soybean Export Council:USSEC) は世界80ヶ国でアメリカ大豆の市場拡大や輸出のプロモーションをおこなうマーケティング機関です。USSECには優良な輸出業者・大豆生産者・政府機関・関連団体等がメンバーとして所属しております。
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