COLUMN

2023年米国研修コラム

米国研修コラム|07

奥崎 正明

月島食品工業(株)
購買部

奥崎 正明さん

サプライチェーン全体で サステナビリティの実現をめざす
アメリカ大豆

初めに、今回の視察では「種子開発・種子栽培・生産研究・生産者・搾油事業者」と米国産大豆のサプライチェーン全体に係る関係者を一度に訪問する機会を頂き大変感謝いたします。特にそのプロセスの中で、サステナビリティの実現に関係者が連携して取り組む姿に日本の農業や我々のような事業者も学ぶべき点が数多くあったと思います。

ソイオイルマイスター検定に於いて、アメリカ産大豆のサステナビリティに関する単元が含まれています。
その中では「SSAP(サステナビリティ認証プロトコル)」が紹介され、この認証が、大きく4つのルールによって管理され、環境を含め社会的要請に配慮した国際認証となっていることが説明されています。今回の研修視察を通じて、米国大豆のサステナビリティが実際にどのように取り組まれているのか確認したいと考えていました。
米国農業のサステナビリティについて印象に残ったのは、視察2日目に訪問した「ケビン・ケリー農場」と「インディアナコーン&大豆イノベーションセンター」になります。農場は基本的に親子二人で経営され、約3,100エーカーと広大な農地に圧倒されました。圃場には灌漑設備は無く大自然に任せた栽培を行い、またその広大な農地はGPSを利用した大型農機にて効率的に管理されていました。圃場は昨年の収穫残渣に覆われ、その間から大豆の新芽が成長するなど実際に不耕起栽培や輪作を行う現場を壮大なスケール感とともに実感することができました。
続いて訪問したインディアナコーン&大豆イノベーションセンターは、インディアナ大豆アライアンスとインディアナコーンマーケティング協議会が合同で資金を提供し、パデュー大学の研究施設として設立されました。施設では学生の他様々なエンジニアが活動し、最新のドローンやセンサーを用い収集した膨大なデータをパデュー大学にて解析し、作物の最適な栽培方法や優秀な種子を開発、大豆栽培における効率化を技術面からサポートしていました。
このように様々な段階に於いて最小投入量で最大収量を目指すべく活動した結果、大豆の耕作面積を約半分に削減しながらも単収を倍増することで生産量を維持、またその過程で使用するエネルギー使用量を削減することで温室効果ガスの排出を減少させるなど、サステナビリティに対し大きな貢献を果たしたことが3日目のプレゼンテーションにて発表されました。

最小投入量で最大収量をめざし単収の倍増を実現

  • 収穫残渣(クロップ)の覆われた農地
    収穫残渣(クロップ)の覆われた農地
  • 圃場で稼働する大型農機
    圃場で稼働する大型農機
  • インディアナコーン&大豆イノベーションセンター
    インディアナコーン&大豆イノベーションセンター
  • ドローンやセンサーを活用した研究開発が進められている
    ドローンやセンサーを活用した研究開発が進められている

今回の視察研修を終えて

現在日本国内の食品製造企業に於いてSDGsへの関心が高まり、環境問題への配慮を念頭にサステナブルな調達を求められてきております。一口にサステナブルと表現していますが、その中身は複雑でサプライチェーン上において自社製品の安心安全を担保したうえで、環境や人権など社会的配慮を行いながら持続可能な調達を達成する取り組みを指しています。米国産大豆はSSAP認証にて管理され、サプライチェーン全体を通じてサステナビリティの実現を目指す点が大きな特徴です。また使用者としてのSSAP認証の取得方法が明確に示されており、自社のサステナビリティ目標設定において考慮すべき項目として注視していきたいと思います。
また日頃は原材料の購買に携わり、米国産大豆をはじめとした各種油糧原料の作柄について社内へ情報発信しています。今回の視察にて得られた知識を普段の相場状況とともに分かりやすく発信していきたいと思います。

  • 世界各国からソイオイルマイスターが研修に参加した
    世界各国からソイオイルマイスターが研修に参加した

運営団体

アメリカ大豆輸出協会(U.S. Soybean Export Council:USSEC) は世界80ヶ国でアメリカ大豆の市場拡大や輸出のプロモーションをおこなうマーケティング機関です。USSECには優良な輸出業者・大豆生産者・政府機関・関連団体等がメンバーとして所属しております。

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