COLUMN

2023年米国研修コラム

米国研修コラム|01

東 浩二

理研農産化工株式会社
東 浩二さん

大規模化とサステナビリティへの 取組みが進むアメリカ大豆ビジネス カーボンニュートラルを強く意識

この度の米国研修では、貴重な体験の機会をいただきありがとうございました。アメリカ大豆のビジネスに関わる様々な企業、生産農家様、関連機関を訪問させていただき学ばせていただきました。九州の製油メーカーとして、特に印象に残ったBUNGE社訪問の報告、研修を通じて感じた事、考えた事をメインに報告したいと思います。

BUNGE社

BUNGE社は、農産物の購入、貯蔵、輸送、加工、販売まで手掛ける大手穀物メジャーです。私の勤める理研農産化工㈱は主に大豆や菜種から食用油脂や油粕類の生産を手掛ける製油メーカーですが、同社における食品製造事業だけをとってみても大豆菜種に加えてパーム油、ココナッツ油、ショートニング、マーガリン、マヨネーズ等の食油加工製品にまでその事業ラインナップは多岐にわたっています。ここまで事業分野が拡大した背景としては、当該分野の企業買収などにより、事業の幅、生産量を拡大してきたことがあるようです。

いずれにしろ、これらの多岐にわたる事業をひとつの企業で展開している上に、原料調達~販売までを一貫して手掛けている事は大きな驚きでした。日本であれば、製油、加工油脂、加工食品製造と別の事業体で展開するのが普通だと考えられるからです。

今回の研修では、①米国のアグリビジネスにおけるサステナビリティへの取組と②高オレイン酸大豆生産の推進という大きな二つのテーマがあり、訪問先のそれぞれの現場で実際にプロジェクトに携わる人達から直接学ぶことができたことが大きな収穫でした。

同社においても上記2大テーマを企業としての重要な取組と位置づけていました。農家と提携しての環境再生型農業実践による窒素損失の削減、サプライチェーン全体にわたって温室効果ガス排出量を削減する取り組みの他、バイオディーゼル向けの原料確保、他のアグリビジネス企業と事業提携し精製植物油原料の燃料の開発を行うなど、カーボンニュートラルを強く意識したビジネスを展開していました。
また、高オレイン酸大豆生産においては契約農家との提携を強化し、年々作付面積を広げていました。高オレイン酸大豆油は、熱安定性が高く、トランス脂肪酸フリーでもあり、ネスレ社やケロッグ社など大口顧客を獲得するなど最近急速に需要が高まりつつあるとの事でした。

  • 説明する男性
  • BUNGEと矢印
  • 高オレイン酸大豆油と従来の大豆油との比較
    高オレイン酸大豆油と従来の大豆油との比較
  • BUNGE社工場外観
    BUNGE社工場外観

日本国内でも広がる、長持ちする高オレイン酸大豆油への期待

研修を終え帰国後、通常業務へ戻るとお客様から「長持ち油製品」の問い合わせが数件立て続けに入ってきました。
最近の2年間は、コロナ禍やウクライナ戦争の影響など、世界的な原料価格、物流コストの高騰により製油メーカーとして価格改定発表を6回行うなど苦渋の決断を強いられ、過去に例のない事態となっていました。その影響からか、一般消費者、業務用顧客問わず食用油に対して「油を大切に使う、無駄遣いしない、節約する」という意識が以前にも増して顕著に表れているのを実感しています。

原料産地の天候、作付け、収穫状況だけでなく、昨今の運賃コスト上昇、バイオ燃料の需要増、ウクライナ戦争をはじめとした国際情勢までも絡み多角的な影響を受け始めている穀物相場において「高オレイン酸大豆(油)」のような付加価値のある製品の存在感、需要は今後一層高まってくるだろうと感じています。

高オレイン酸大豆油は、健康面への利益はもちろん、熱・酸化安定性に優れていることから従来の植物油より長持ちするという利点があり、これからの時代にマッチした商材に成り得ると思います。製油メーカーの一営業としては、米国での作付面積の拡大・生産コストの問題などがクリアになり、一日も早く日本国内で搾油可能な量の輸入が実現し、高オレイン酸大豆原料の食用油を自社生産、製品化し取り扱える日を心待ちにしています。

今回の視察研修を終えて

弊社では先述したように、主に大豆・菜種原料の搾油事業、大豆油、菜種油、調合油の販売を行っています。この度の研修を通じて学んだ事で、今まで以上に大豆原料の相場を意識し、自社製品の原料となっているアメリカ産大豆の特性やSSAP等をはじめとした優位性の理解を深め、お客様へのプレゼン、日々のコミュニケーションに活かしてまいります。

運営団体

アメリカ大豆輸出協会(U.S. Soybean Export Council:USSEC) は世界80ヶ国でアメリカ大豆の市場拡大や輸出のプロモーションをおこなうマーケティング機関です。USSECには優良な輸出業者・大豆生産者・政府機関・関連団体等がメンバーとして所属しております。

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